特殊な環境で活躍するロボット

特殊な環境で活躍するロボット

宇宙開発においては、その苛酷な環境から自動的に状況を判断して行動するロボットの方が、環境維持にコストの掛かる人間よりも、様々な面で運用性が高い事もあり、近年の宇宙開発事業において、その重要性は益々高まっている。
古くから、一度打ち上げたら二度と地球には帰ってこられない探査任務においては、(人道的見地から)よもや人間を乗せて打ち上げる訳にもいかないため、また火星や月の裏側など、無線による直接的な操縦が出来ない環境では、ある程度の自己判断能力のある無人探査機の開発が求められていた。
その結果、近年では火星上を探索するローバーにおいて、自分で移動経路を判断して探査任務を続行する物が開発・実用に供されている。
日本では、自国製ロケットの運搬能力が(生命維持装置を含めた)人間を軌道上に打ち上げるのが難しい事もあり、国際宇宙ステーション(ISS)への物資輸送においては、自動的に軌道修正を行ったりできるロボット宇宙船(無人のスペースシャトル)の構想が、国内での宇宙開発における主要方針となっている。
他にも国際宇宙ステーションからの緊急脱出機材として一時アメリカで開発が進められていた乗員帰還機(CRV)のX-38(Xプレーンシリーズ)は国際宇宙ステーションからパイロット無しで脱出・地球への帰還ができるよう、完全自動化する構想であった。
これは開発中止になったが、一種のロボット宇宙船といえよう。
その一方で、宇宙と並んでもう一つの未踏破領域である海底探査において、小型で安価な大量のロボット潜水艇を投入しようという計画もあり、将来的な海洋資源開発に、期待が持たれている。

人の動作を補助するロボット

人の動作を補助するロボット

パワードスーツ、ロボットスーツ、強化外骨格等ともいう。
現在の医療での回復が見込まれない、脊髄損傷による歩行ができない人や、それ以外に病気などで歩行が困難な人を対象に、歩く動作を補助する目的で「ロボットスーツ」なるものが開発されている。
開発は、筑波大学大学院システム情報工学研究科の山海嘉之教授が中心となって行っており、実機も動作している。
イメージとしては小説「宇宙の戦士」などに登場する架空の兵器であるパワードスーツといったらわかりやすいかもしれない。
また、松下電器産業が神戸学院大学総合リハビリテーション学部の中川昭夫教授らのチームと共同開発した半身麻痺患者のリハビリテーション用ロボットスーツは、健常な半身の筋肉の動きをセンサーで検知し、麻痺した側に装着した人工筋に伝えることで左右同じ動きを実現するもので、2008年の実用化が計画されている。
これらは通常「ロボット」と呼ばれる物と異なり単体での動作はなく、人間が装着することで機能し、医療・福祉関係のほかに、物流関係、工事現場など広く民生用への応用が期待される。
軍事用に米軍がマサチューセッツ工科大学と共同で強化外骨格の研究をしているといわれる。

人命救助とロボット

ロボットを、従来は危険ではあるが人的労働力を必要とする場所に、人間に代わって導入しようという研究もある。
先に述べた地雷撤去ロボットもそのような例の一つではあるが、その一方で災害などにおける被災者の救護活動も、二次災害の危険がありながら人的労働力の大量投入でまかなっていた所を、ロボットに作業の一部を担わせることで、より効率よく人命救助に役立てようという動きがある。
例えばレスキューロボットは地震や噴火・津波などによる被災地に投入していち早く被災者を発見、保護することで救命率の向上と二次災害による被害を防ぐための研究が進められている。
これらのロボットはセンサーと場所を選ばない移動能力を持ち、倒壊建物に取り残された被災者の発見に役立てる方向のほか、テムザックの「援竜」のように従来からある建設機械を発展させて二本のアームを供えロボット化、瓦礫撤去を効率よくこなすことが期待される。
火災の場合では、コンビナート火災など危険すぎて消防隊が突入できない個所にも侵入できる放水銃を備えた無人走行放水車や、危険の伴う火災現場に突入して状況を調べるための偵察ロボット、水中を捜索する水中検索装置、マニピュレーターを備え要救助者を回収する救出ロボットが東京消防庁に配備されている。
これらはリモートコントロール式の装置であるが、危険個所の消防と被災者の救出に威力を発揮することが期待される。

人命救助とロボット

▲Page Top